国語教師

けっこう歩いた

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中国出張中に司馬遼太郎の「歴史と風土」を読了。

歴史と風土 (文春文庫)

歴史と風土 (文春文庫)

なかなかに面白い内容だった。
日本がアジアの中でどのように影響を受け、そしてどのように明治維新を迎えたか、さすがの鋭いしてんで語っていた。
久々の司馬遼太郎は面白かった。
で、読んで最初に思い出したのは中学の頃の国語の教師だった。

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中学の1年か2年だったかに、夏休みの読書感想文の宿題が出た。
国語教師が作った推薦図書があり、基本はそれにそって読んだ本の感想文を5冊分書けと言う事だった。
その頃すっかり司馬遼太郎にはまっていた自分は猛烈な勢いで氏の本を読みあさった
結果、57冊読み、1冊を除き司馬遼太郎本だった。(この場合、10巻ある本は10冊とカウント。よって翔ぶが如くは10冊)
夏休みは約40日なので、一日一冊以上読んだ計算。確かに、常に本を読んでいた記憶がある。
これだけ読めば褒めてくれるだろうと思って提出すると、教師の表情は非常に険しくなった。
どうやら、推薦図書以外の、それも司馬遼太郎なんぞばかり読んでも意味が無いという評価だったらしい。
結果、司馬遼太郎の56冊は1冊分扱いとなり、2冊分の感想文しか書いていないため、3冊追加で即刻提出せよという命令が下った。

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当時、非常に理不尽だと感じたが、今考えてもこの教師は相当に良くない。
若い頃に、本を読むと言う習慣付けを行う事が国語の教師の役目としてあるのだろうが、完全に逆の行為だ。
基本的に本は興味のあるモノを読まなければ頭に入らない。推薦図書として、興味の湧かない本を読んで何になるんだろうか。
その教師は、本はまんべんなく様々なジャンルを読めと言ったが、それでは学問は体系的に身に付かない。
ある、一定のジャンルを集中的に読む事で、知識が骨となり肉がついてついていくのだ。
結果その追加命令があってから、読む本の数がぐっとへってしまった。
あの理不尽な指導がなければ、もっと様々な本を読む様になったと思うと、非常にくやしい。